2023年度 修士論文発表会

2024年2月6日、島根大学大学院自然科学研究科環境システム科学専攻建築デザイン学コースにおける2023年度修士論文発表会が行われました。千代研究室からはM2の槇山が発表を行いました。

題目は「松平不昧の小間茶室空間と写し」としており、不昧の茶室に用いられた写しの手法を詳細に分析することで、不昧の茶室空間を明らかにしようとするものでした。これまで行われてきた研究と異なり、平面立面において写し手法の比較分析を行うという手法を用いたところに本研究の独自性を見出せたのではないかと思います。

本研究では、不昧の茶室に用いられた写しの手法の変遷について「本歌に近づき、厳格化する平面構成」と「本歌から離れ、自由度が上がる立面構成」の2点を結論としています。また、松江に残る不昧の茶室について現代まで曖昧に認知されていた「定石にこだわらない不昧の独創性」の正体を、「自身の編集による立面の変化を抑え、本歌に近づけんとする写しの創意工夫」であると考察しました。本研究で、不明瞭な部分が多かった不昧の茶室郡について一定の結論を得ることが出来たことは筆者としても非常に良い結果になったのではないかと、大きな達成感とある種の安堵を感じているところです。

本稿で明らかになった事項、示唆した事項を足掛かりに今後の不昧茶室研究の発展を期待します。

発表資料より 結論の項

お世話になった方々へ

まずは、修士論文のみならず、卒業論文時の調査においても、手銭美術館の佐々木杏里様、赤山茶道館支配人の森山俊男様、有澤山荘管田庵の有澤一男様、実測調査にご協力いただきました建築士会の皆さま、臨済宗南禅寺派華蔵寺住職様、資料のご提供を頂きました松江歴史館様を始めとする方々には多大なるご協力を頂きましたことを深謝致します。

そして何より、研究室に配属された学部3年後期から博士前期課程2年までの3年半の間、ご自身も大変お忙しい中でも常に全力で熱心にご指導して頂きました千代章一郎教授には深く感謝を申し上げます。
 千代先生は私が学部2年生の時にご着任されたと記憶しておりますが、このことは今思えば私にとって非常に運のいい出来事だったのではないかと思います。華蔵寺茶室の実測に始まり、千代先生のもとで不昧の茶室の謎を追った3年半は非常に刺激的で充実していました。もちろん全てうまくいったわけではなく、私の未熟さゆえに時には生意気な発言もしました。この場をお借りしてお詫び申し上げます。しかしそれでも最後まで熱く熱くご指導して頂き、様々な学会発表の経験もさせて頂きました。実に恵まれた修士学生であったと自負しています。本当にありがとうございました。


研究室メンバーへ

修士に上がった時点で研究室に私の同期はいませんでしたから、議論や他愛もない日常会話の相手になってくれた在校生諸君には大変お世話になりました。口を開けばプラモデルの話題しか出てこない男だったため、まともな指導やアドバイスをできたかどうかはいささか怪しい部分ではあります。しかしながら、間違いなく私の修士生活において君たちとゼミを行い、議論を交わした日々は良い思い出になりました。
 これから先、研究で行き詰ることがあると思いますが、「あんな感じだった槇山も卒業していったしなぁ」と思って肩の力を抜いてくれればと思います。どの学年も優秀な学生ばかりなので来年再来年の研究の様子、そして将来社会で活躍する姿が非常に楽しみです。


最後に

島根大学及び千代研究室で得た経験と学びを存分に活かして邁進して参ります。
 今までお世話になった全ての方にお礼申し上げます。ありがとうございました。

2024年2月 槇山公喜