令和7年度 北九州市建築見学
2025年9月9~12日に九州大学にて開催された、2025年度日本建築学会大会[九州]を機に、北九州市内にある磯崎新の作品(北九州市立美術館と北九州市立図書館)を見学しました。

北九州市立美術館



この美術館は、2本のツノがあるかのようなダイナミックな外観をしていますが、内観はボックスを配置したようなシンプルな空間構成になっています。
入り口へ向かう通路は、列柱廊のようになっており、エントランス空間では、天井からの陽の光と側面にある照明が組み合わさるなど、奥にある階段と共に没入感を覚えます。
展示された作品を見ていくと奥の空間へと導くような窓があり、陽の光を受けた白い空間と作品が互いを引き立てあっているように感じました。
展示空間以外の場所でも、空間の雰囲気に配慮して照明を直接見せないような工夫や、壁を四角く切り取る操作がされています。奥に見える植栽と作品であったり、窓枠を模様のように見せ、空間を絵のように感じさせます。側壁に設けられた消化装置も素材を合わせることで、空間に調和していました。
また、コンクリートを多用している建築でありながらも素材の組み合わせ方により、重厚感を与えず、訪れた人にダイナミックさと繊細さの両方を感じさせる美術館であると思いました。
北九州市立図書館


北九州市立中央図書館を訪れて、まず外観を特徴づけるヴォールト屋根が印象に残りました。公園の緑に囲まれた場所にあり、なだらかな曲線で屋根の色も緑で、建築と環境の一体感を感じることができました。
内部に入ると、特徴的な天井の形状が中からでもよくわかり、思わず天井を見てしまうような建築設計がなされていると感じました。また、天井の曲線が空間を包み込み、直線的な建物にはない安心感や居心地のよさがあり、図書館にぴったりな空間が出来上がっていると思いました。光の入り方も特徴的で、外光が曲面に反射して室内全体にやわらかく広がり、本の日焼けを防ぎつつ、暗い印象も与えず読む時間をより落ち着いたものにしてくれる取り入れ方だと思いました。
図書室へのアプローチは緩やかなスロープとなっており、スロープからの景色もよく、通りたくなるような建築計画だと感じました。図書室はスキップフロアみたいに段々となっており、本を読む人の視線が少しずつ違っていることで、周りの目を気にせず集中して読書することができる計画になっていると考えました。また柱が無いため、奥行きも広く感じました。
アーチ状の屋根の建物はあまり見たことがないので、北九州市立中央図書館を見てとても印象に残りました。デザイン性に特化した図書館は個人的に多くあるイメージなので、様々な図書館に積極的に足を運びたいと思いました。
3年 永井柚季
おわりに
今回、研究室建築見学に初めて参加して、自分では気づくことのできなかった点や学びを研究室のメンバーと交換しあったり、千代先生の細かい着眼点に驚かされるなど、とても刺激的な見学になりました。私は、まだまだ知識が浅く、納得より驚く場面が多い見学となりましたが、今後の学びに繋げていきたいと感じました。
令和7年度 3年 小畑安澄